2016年3月29日火曜日

産後ケア入院体験記

産褥期のことを、私は妊娠初期からずっと恐れていました。実家は遠方ですし、実母も義母も、60代半ばとなり、体力的にも実のある援助を期待できないので、里帰り出産は選択しませんでした。夫は毎晩深夜まで残業のある忙しいサラリーマン。

家族による十分なサポートが期待できなかった私は、妊娠中期頃から、行政や民間の産褥ケアのサービスを探しました。

調べた中で、二つの施設を選び、すぐに見学に行きました。

産褥入院と一口に言っても、受けられるサービスは施設によって大きく異なります。

最終的に、産後ケアをしてくれる医療機関に、出産前から入院仮予約をしておき、7泊8日の産後ケア入院をしました。

★ 出産後に産褥入院の入院日を連絡

出産後に施設に電話をし、退院日と到着予定時刻を伝えました。

受付さんから、「入院日に昼食はいりますか?」という質問があり、出してもらうようお願いしました。

★ 産後ケア入院当日

◎ タクシーで移動

産院退院後、タクシーで産後ケア施設に向かいました。

夫がおくるみでくるんだベビーを抱っこしてくれました。タクシーの中で、娘はすやすやと寝ていました。

うちは自家用車がないので、タクシーで移動しました。生後数日で、まだ赤ちゃんに慣れていない状態で電車に乗るのは大変ですし。赤ちゃんを抱いていれば、両手がふさがっているので、改札でスイカをタッチすることすら難しそうです。

◎ 産後ケア施設に到着

産後ケア施設に到着したときには12時頃でした。

受付後、個室に通され、問診票のようなものを渡されました。

シャワー・トイレ・TV付き、電動ベッドありでした。

その後、昼食が出てきました。

◎ 助産師さんの診察

午後に助産師さんの診察を受けました。


★ サービス内容

この産後ケア施設で受けたサービスは以下のようなものでした。

◎ 洗濯

基本料金に、赤ちゃんの肌着・タオル類の提供は含まれますが、ママの衣類の洗濯は含まれませんでした。

院内のコインランドリーで自分でやるか、家族に頼んで自宅でやってもらうことになります。私は主人が毎日面会に来てくれたので、主人にお願いしました。

バスタオル、フェイスタオルについては日額300円で提供されるとのことでしたので、頼みました。


◎ 紙オムツ・おしりふき

紙オムツ・おしりふきは、院内で別料金で購入するか、持参とのことでした。

私はアマゾンなどで購入したものを持参したほうが安いと思ったので、主人に持ってきてもらいました。

◎ 母乳育児指導

母乳が足りているか、ミルクの足し方はどうかについて指導してもらいました。

これは、どの産後ケア施設でも必ずやってくれるものだと思います。

調乳までやってくれたらラクだろうなあと思います。

出産後の悩みの大半は、授乳に関することだったので、母乳に関する相談ができたことが、産後ケア入院の最大のメリットでした。

◎ 沐浴指導

スタッフに沐浴を担当してもらえる施設もあるようですが、この施設は、基本的にママが自分で沐浴させることとなっていました。

産後、誰かにかわってもらいたい作業といえば「沐浴」ですよね。自分でやるのは最初は面倒だなと思いました。しかし、産院でも実際の赤ちゃんで沐浴を練習する機会がなかったので、助産師さんに直接指導を受けながら沐浴させることができ、良かったです。


◎ 赤ちゃんを預かってもらえる

基本的に24時間母子同室ですが、部屋を不在にするとき、シャワーを浴びる時、疲れて休みたいときは、頼めば1、2時間程度、助産師さんに赤ちゃんを預かってもらうことができました。

赤ちゃんを預かってもらっている間に睡眠をとったら、体が楽になりました。

近くに赤ちゃんがいると注意がそちらに行ってしまうので、熟睡できないのです…。


◎ ベビー服を貸し出してもらえる

私の入院した施設では、ベビー服は貸出されました。ベビー服を持って行く必要がないことは良かったです。

産褥入院時の荷物は、ただでさえ多くなってしまいます。

また、ベビーにとってどんな衣類が何枚いるのか、出産前にはイメージしにくくて、持って行きすぎの結果になりがちです。

◎ 経験ある助産師さんがいる

24時間、助産師さんに相談ができました。

出産した産婦人科は助産師に相談しにくい雰囲気でした。
産後ケア施設に入院中は、いつでも助産師さんに声を掛けられる環境におり、とても助けられました。

夜勤の助産師さんは何度も部屋に来てくださり、授乳のときの抱き方などをアドバイスしてくださいました。

赤ちゃんの扱いを、手取り足取り教えてもらえて育児の緊張が薄まった気がします。

退院日、ミルクを授乳した後娘がギャン泣きを始めました。

私が慌ててナースコールをしたところ、助産師さんは落ち着いて「お母さんの緊張を感じたんじゃない? 眠っていてほしいという気持ちが伝わったのかな。抱っこして、授乳してあげたほうが早いかも」とおっしゃるのです。

それで私はおっぱいを含ませたところ、ぴたっと泣き止んだんです。

私も主人も、「助産師さんは、新生児の気持ちの分かるプロなのだ」と実感しました。



◎ 夫や家族の面会時間は制限あり

入院先の通常の面会時間は正午から午後8時まで。夫その他家族の面会時間も制限されていました。

夫は長時間勤務なので、面会時間がもう少し夜遅くまで対応していると良かったと思います。

夫がいつでも赤ちゃんの顔を見に来れる施設が理想だと感じます。


◎ 特定の健康法に傾倒していない

私が入院したのは病院で提供する産後ケア施設でしたので、一般的な医療機関では見られない健康法(マクロビオティック、アーユルヴェーダ、自然療法など)を強く勧められるというようなことはありませんでした。

◎ マッサージやアロマトリートメント等がない

入院中、一度だけフットマッサージをしてもらいましたが、アロマセラピーなどは含まれていませんでした。

◎ お産を扱っている施設でした

入院先の施設ではお産を扱っており、産褥入院だけに特化してはいません。

お産を扱う施設では、お産が最優先となり、産褥入院利用者が心細い思いをする可能性もあると感じます。

お産は利益が出やすく、産褥入院は出にくいらしいですし。

★ 利用後の感想

◎ 産後ケア入院中に感じたのは、絶大な安心感

産院入院中、母乳分泌もまだ軌道にのらず、睡眠不足で追い詰められて落ち込みがちになり、辛かった記憶しかありません。

食事が3食出るだけでも、不安が大幅に減りました。食べないと母乳も出ません。

また、母乳について助産師さんにいつでも相談できるという環境は初めての育児に戸惑い、かつ、母乳があまり出ない私にとってはとても良かったです。

◎ 母親学級の合宿バージョン

産褥入院に関しては、「実母に悪いと思って産褥入院しない」という人もいるようです。

頼ってくれると思っていた娘が産褥入院を選んだら、あるいは産後に具合が悪くなって産褥入院することになったら、ショックを受けるお母さんは多そうです。

私の場合は実母に一切相談せず、産後ケア施設に入院することを決めました。

実際に利用してみると、産後ケア入院は、里帰りの代わりであるだけでなく、専門家(助産師)のノウハウを分けてもらう体験だったと感じます。

赤ちゃんの抱き方、沐浴の練習、赤ちゃんを安心させる方法等々。落ち着いた環境で、助産師さんの指導を改めて受け、自宅に戻る前に十分に練習することが出来ました。

いわば、母親学級の合宿バージョンでした。

◎ 高額だけどそれだけの価値はある

産後ケア入院については、安くても料金が1泊3万円程度とかなり高額です。だから、「産褥入院なんて贅沢だ」と思われる方もいらっしゃると思います。

確かに高いと言えば高いのですが、産後のサポートを得られない私にとってはありがたいものでした。

私が出産した産院では、出産後に退院を1日伸ばす場合、1日あたり5万円の追加料金がかかるそうです。それから比べると、産後ケア施設の料金は安かったです。

確かに、普通の病気で入院をする場合でも個室料と食事代だけで1万円前後かかりますよね。

産後ケア入院では、さらに赤ちゃんの世話もしてもらいますし、母乳マッサージを受けることもあります。

保険適用がありませんし、3万円程度はかかっても仕方ないのでしょう。

「産褥期」とは、産後6~8週間の時期のこと。この時期、産婦は、家族や周りの人の助けを借りて家事はできるだけ避け、新生児の育児を無理せず行い、自分自身の体調の回復に努めることが大切です。特に大切なのが、睡眠をできるだけとることです。産後はホルモンの関係で、精神的にも不安定になりがちです。家族によるサポートを十分に受けられない場合は、外部の手を借りることも、この時期は大切だと思います。

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